→Rock'n Roll→  Tasogare Akane  top      第1巻

   002.ひとの心を塗り潰すかんかく

 ぱっと目が見開いた。
 目の前には真っ暗な闇が広がっていて、次第に目が慣れてきたのか薄暗い天井が形を現してくる。
 頭の中で夢の続きがビデオテープみたいに再生されたまま、止まらない。
 夢の中の自分はその中の出来事を当然のように思っていて、でもそれは、眠りについた時にしか姿を現さない。
 今まで観た夢の形がどんなものだとしても、夢の世界に住んでる自分と現実の世界で生きてる自分は同じ人格じゃなく、交わる事がない。
 一つの身体に、二人の自分が存在する感覚。
 それはこんな寝起きや眠りにつく前の不安定な意識の中でしか互いに存在を気付けないけど、どっちも本当の自分で、降りかかる出来事も全て真実だったりする。
 だけど5分もすれば、それまで当然に感じてた今までの夢の出来事を全部忘れ去る。
 別に悲しくもないけど、そんな当たり前の事に気付く度に自分――赤根 黄昏(あかね たそがれ)って人間が、本当に自分の意志を持って生きてる存在なのかって痛切に思う。
 もちろん、誰かに動かされて生きてるわけじゃない。
 でも、本当に自分自身の意志で今日まで生きてきたのか、それとも本能的な無意識とやらが今日まで俺を生かしてきたのか――そんな事を考えたって、結局訪れるのは今までと変わりない、退屈でくだらない時間だけだ。
 今日は珍しく頭が冴えていて、いろんな事を考える。ここ1週間くらいずっと、微熱にうなされたような感じで何も考えられなかったのにな。
 今は何時かわからないけど、カーテンに西日が当たってないのを見ると、とっくに夕方過ぎなんだろう。
 すっかり昼夜逆転した生活。
 朝日と共に目覚めて、満天の星空の下で眠るのもそう悪くない。でも、そんな生活をすると何か得体の知れないものに飲みこまれたような感覚が全身をつきまとって、吐き気がしてくる。
 それは『社会』って呼ばれるシステムなのかもしれない。
 いつも社会やルールやら、決まり事に反抗してずっと生きてきたもんだから、すっかり他人と同じような生活を送れない身体になってしまった。そんな日常に組みこまれる自分を想像するだけで、吐き気がする。
 どうも『昼間=他人とつき合う時間』だって変な認識が頭にこびりついてしまってるせいか、俺は特に一人の時間を満喫できる夜という世界がとても気に入ってる。
 とはいえ、そこら辺の暴走族やチーマーみたいに、他人の寝静まってる時間に我が者顔でステージの上に立つようなバカらしい真似なんてしない。前にマンションの下でエンジンを吹かしまくってたやかましいガキ達を、一人でタコ殴りにした事はあったけど。
 ぼんやりと開いた右手を真上にかざして暗闇の中で掌を薄目で眺めてると突然、素っ気ない部屋の中にインターフォンのチャイムが鳴り響いた。
 またあいつか。
 このマンションはオートロックだから鍵を持ってる人間は入口のインターフォンなんて使わなくてもいいのに、愁(しゅう)の奴は毎度律儀にチャイムを鳴らしてから、俺の部屋へ上がりこんでくる。
 そうすればこっちが喜んで玄関の前で迎えてくれるとでも思ってるんだろうか。でも、そんな気持ちの悪い真似をするつもりなんて毛頭ない。シーツを頭の上に被って、早速狸寝入りを始める事にした。
 あいつが来てるさえ気付かないほどぐっすり眠っていられれば一番理想なんだけど、目覚めてしまってからじゃもう遅い。どんなに騒いでも無視を決めこんで、さっさと諦めさせて帰らせる事に決めた。
 機嫌が悪いわけじゃないけど、今はできるだけ一人でいたい――そんな気分だった。
 しばらくすると、玄関から鍵を錠前に捻じこむ音が聞こえて、
「こんばんわーっ」
少しアニメっぽい女の子のはきはきした声と共に、ドアが軋んだ音を立てて開いた。
「やだー、まぁた真っ暗なのぉ?」
 寝起きの頭に響く高い声でぶつぶつ不満を漏らしながら、騒がしい足音を響かせて愁が部屋に転がりこんできた。
「あれ……?寝てんの、たそ」
 その間抜けな呼び方はやめろって何度も注意してるのに、まただ。
 思わず飛び起きて怒鳴り散らしたくなったけど、そうすると狸寝入りでやり過ごす計画が水の泡になってしまう。
「おーい、もう7時だぞー、おきろーっ」
 愁はキッチンにあるフライパンにお玉を何度も叩きつけて、無理矢理俺を起こそうとする。おまえは俺の母親か。
 起きそうで起きないところをアピールするために、一度わざと寝返りを打った。
「やれやれ、ホントにもう……」
 愁は頬を膨らませて、キッチンの明かりをつけた。床に置いたビニールの買い物袋が擦れる音が聞こえる。
 この部屋の電気を愁がつけないのは、前に一度それで怒鳴り散らした事があるからだ。
 寝ている時に電気をつけられると、一気に現実の世界へ意識を持っていかれるような感覚に襲われて、凄まじく目覚めの機嫌が悪くなる。その時は、愁は大粒の涙をたくさんこぼして泣きながら帰った。
 そんな後味の悪い昔の出来事を思い出してると、キッチンから愁の鼻歌が聞こえてきた。ご丁寧に、俺達のバンドがライヴの最後にいつも持ってくるナンバーだ。
 最近はご無沙汰だけど、以前はよく青空(あおぞら)に連れられてライヴハウスのステージに立たされてた。
 それとも自分の意志で立ってたのか、今でもよくわからない。
 毎日部屋に閉じ篭もって、腐り切ったミカンのようになっていた俺をどうして青空が誘ってくれたのか。理由はいろいろあるけど、青空は俺を、俺の歌声を必要としてくれた。
 だから俺は頑張って、あいつの気持ちに応えるように精一杯歌い続けた。
 集客数とか人気とかは全然気にも留めなかったけど、やたらと周りの人間が褒めてくれたのと、ライヴ中はいつも心地いい熱気と気持ちに包まれてたのを今でも覚えてる。
 その時の追っかけの一人だったのが愁で、俺が全然バンドに顔を出さなくなった今でも何故かくっついてきていた。
 こんなくだらない男につきまとってないで、ちゃんとした高校生活でも送ってればいいのに。そしたらこっちも何不自由なく一日中眠ってられるんだ。
 それに、今の歌わなくなった俺には何の価値も有りはしないだろ。
「ねぇ、何か食べる?」
 床に散らかってたゴミをまとめ終わると、キッチンから愁が声をかけてきた。もちろん無言で返す。
「……ホントに寝てるの?シーツ洗っちゃうよ?」
 明かりのない部屋に入ってきて、俺の包まってるシーツを引っ張る愁。それでもこっちも負けじと狸寝入りを続けた。
「むーっ」
 小動物みたいに唸ってから、愁はシーツから手を離した。ほっと一息ついたのもつかの間、
「起きてよー、たそーっ」
怒ったような困ったような声を上げて、俺の身体を思いっきり揺さぶり始める。
 すっかり目が冴えてしまった。それでも寝不足らしいところをアピールするために、何度も寝返りを打って身体を丸め、シーツで耳を塞ぐ。
 しばらく愁は俺の身体を揺すり続けてたけど、やがて諦めたのかスリッパを鳴らして部屋を出て行った。胸を撫で下ろして寝苦しい身体を伸ばしてると、今度は風呂場の前の洗濯機を回す音が聞こえてきた。
 何が何でも起こす気かあいつは。
 これで次に炒め物でもしたら引っ叩いてやろうかって考えたけど、いつもなら理由に事つけて迫ってくる愁も今日は静かにしてるみたいなので、俺もベッドの上でシーツに包まってる事にした。
 久々に頭を動かしたせいか、軽い気だるさが全身を包む。このままもう一度寝たら、次に起きた時には愁もとっくに帰ってるだろう。
 そう頭の片隅で思ったその時、下半身に妙な感覚があった。
「ん……」
 まるで熱を持ったように、俺の全身を快感が駆け巡る。
 何やってるんだ、愁の奴?
 今の姿勢だと、確認するには上体を起こさないといけない。でもそうすると俺が起きてるのがバレてしまうから、知らぬ振りを貫き通そうとした。だけど、身体が勝手に刺激に反応してしまう。
 すべすべした指が絡みついてるような感覚が下半身を包みこむ。子供が新しい玩具を与えられて興味津々にいろいろ弄って遊んでるような、そんな戸惑いと驚きを混ぜた感じで愁は両手を動かしてるようだった。
 おどおどと指が離れては触れるたびに、頭に電流が走って全身が火照ってくる。世界が甘い香りに溶けていく感覚が俺を包みこむ。
 愁の息遣いがかすかに部屋に響いて、吐息がほんの少しかかるだけでとろけそうになる。本能をくすぐるこの感覚。
「う……ん」
 俺の漏らした声で愁が驚いたのか、指がびくついた。とっさに手を離して指の感覚が消える。二人の胸の高鳴りと呼吸音が部屋の空気を支配して、しばらくそのまま時が固まったように思えた。
 もう一度、下半身に蛇のように指が巻きついてくる。
 飛び起きて怒鳴ろうとも一瞬思ったけど、されるがままのほうが断然気持ちいいので愁の好きにさせる事にした。
 愁と出会って半年になるけど、まだ一度も手をつけてない。俺のファンだからというモラルのせいじゃない。ただ俺が、この娘の事が本当に好きなのかわからないだけだ。
 一線を超えていいものかどうか迷ったけど、そんな考えも快感の前にすぐ消えた。 
 指が貼りついたまま、ゆっくりと何度も上下する。そんな愁の仕草を想像するだけで、桃色の霧が頭の細胞一つ一つを犯していく。
 愁の事が愛らしく思えて、抱きしめたい気持ちに駆られる。でもそれは『恋』とか『愛』とか呼んでるものとは何だかちょっと違う気がした。
 指の動きが止まって、また時が固まる。今度は愁の荒い息遣いがはっきり聞こえた。
「…………!」
 突然、先端に粘膜に包まれた軟体動物が吸いついたような感覚が走って、視界が真っ白になった。愁の悲鳴が小さく上がるのが遠くで聞こえて、オーバーヒートした全身の神経が徐々に落ち着きを取り戻してくる。
「おい愁、今何やって……」
 これ以上目を閉じてても意味がないので、冷静さを取り戻してから起き上がった。そして愁に怒鳴ってやろうとした途端、その後の言葉が出なくなる。
「え……あ、おはよ……」
 呆けた顔で呟いた愁が、目を丸くして汚れた顔を指で拭っていた。
 暗い部屋の中で白のニット帽を被って、秋物の紅葉色のカーディガンを着た愁が、尻餅をついてフローリングの床にへたりこんでる。
 隣のキッチンから差しこむ明かりを背に受ける、愁のピンクに頬染めた顔が、こびりついたてらてらと光る乳白色の液体のせいで、普段は見られないエロチックな雰囲気を醸し出していた。
「もう夜の7時だよ、いつまで寝てるつもりだったの?」
 俺が起きたのを空っぽの頭が認識したのか、愁はようやく笑顔を向けた。でも、俺は起き上がった体勢のまま、何かに魅入られたように固まっていた。
 愁の口紅の塗ってない淡いピンクの唇が動くと、口の中で俺の吐き出した物が糸を引く。その絵がとてもいやらしくて、胸の奥底から熱がこみ上げてくる。
 いつもと変わらないはつらつとした口調で話し続ける愁の言葉が、耳を通り過ぎていく。
 今まで体験した事のない、黒とベージュが混ざり合ったような、濁ってるけど甘美な感覚が、俺の心を塗り潰していくのがわかった。
「きゃあっ!」
 気付くと俺はシーツを脱ぎ捨てて立ち上がり、愁の腕を鷲掴みにしてベッドの上に放り投げていた。
 突然の事に頭が混乱して動けない仰向けの愁に、全裸のまま覆い被さって着てるカーディガンに手をかける。そこで愁はようやく身の危険を感じたのか、慌てて俺の身体を両手で突き飛ばそうとした。
 けど、非力な女子高生じゃ男の俺にかなうわけがない。
 踏ん張って後ろに倒れるのを堪えてから、突き出された腕をしなりをつけて弾き飛ばすと、片腕一本で愁の両手を頭の上で押さえこんだ。それでも、愁は必死に俺の下でもがいている。
 逃げようとする愁の一つ一つの動作が、俺の欲望を促進させる。他人が泣く姿や怒る場面を見るのは死ぬほどゴメンだっていつも思ってるのに、今だけは全く逆だった。こんな時は、自分の身体が勝手に動いてフィルムを見てるように目の前の光景が流れたりするもんだって聞いた事があるけど、今、俺は俺自身の意志で動いてるのがはっきりとわかった。
 ここしばらく四六時中、自分で気付かないほど心が周りに流されてて生きてるのかさえわからない感覚がつきまとってたのに、今だけはその呪縛から解き放たれたように、目の前の愁を汚そうとしてる。
 カーディガンを脱がそうともう一度手をかけると、愁は大声で悲鳴を上げて抵抗した。でも、助けなんて来るはずがない。騒音が嫌いだから防音の整ったこの部屋を借りたのが、こんな形で幸いと出た。
 服は普通に脱がそうと思ったけど、愁の悲鳴で気が変わった。力任せにボタンを引きちぎって胸元をはだけさせる。上着と合わせたサンドベージュのブラを上にずらすと、発達中の小さな膨らみが現れた。
「やっ、嫌あ、やめてえっ!」
 隣の部屋の明かりに照らされた愁の身体に顔を押しつけて、欲望のままに貪る。愁の悲鳴が更に大きくなったと思うと、徐々にトーンが低くなって、やがて涙声へと変わっていった。
「やだ、こんなのやだよ、たそ……っ!」
 しばらくそのまま柔らかい肢体を堪能していたけど、愁はそれでも抵抗は止めないで、身をよじって俺の下から逃げ出そうとしてる。
 いい加減、欲望が身体の中で爆発しそうになってる。我慢しきれなくなって、俺は愁の左足を持ち上げて白のスカートをへその上までめくり上げた。愁の抵抗が一際強くなるけど、こっちも全力で押さえつける。
 ここまで物事に執着する気持ちが強くなったのは、子供の頃に欲しいおもちゃを叔母さんにせがんだ時以来かもしれない、なんて思う。
 これが愁との初めてのSEXなんだ、と脳裏を一瞬よぎって、ふと我に返った。でも、それがどうした。
 考えるのを止めて下着をずらすと、有無を言わさずねじこむ。と、そこで愁の抵抗がぷつりと途絶えた。腰を動かすたびに、切ない悲鳴と喘ぎ声が愁の唇から漏れる。
「……こんなの、やだ……」
 悲鳴の最中にそう小さく囁いた気もするけど、お構いなしに愁を抱き続けた。絶え間なく上がる悲鳴がやけに心地いい。
 すぐに臨界点を迎えて、愁の中で欲望が爆発する。でも、気持ちの高ぶりは収まるどころかますます激しくなってるように思えた。
 白のスカートに紅い斑点を見た時はさすがに罪悪感を覚えたけどそれも少しの事で、性欲の霧が晴れるまでさんざん嬲り倒した。最近発散していなかったのもあるのか、途中で回数を数えるのが億劫になるくらい、愁の体に欲望を叩きつけた。
 愁はその間ずっと、ただ嗚咽を漏らして、聞き取れないほど小さな声で時々何かを呟くだけだった。顔を両手でずっと隠してたけど、俺も見たくなかったので構わず続けた。泣きはらした顔を見ると、そこで絶対冷静になってしまうのがわかってたから。
 ベッドの上でうずくまってる愁を一人置いてシャワーを浴びに部屋を出る時、キッチンの壁時計が9時半を差していた。久し振りのSEXに心の底から興奮してたんだろうか。
 ぬるめのお湯を浴びながら、身体の汚れを洗い流す。クリーム色の壁タイルを眺めながら、さっきまでの情事を思い返してみた。心地いい疲労が全身を包んでる。
 すっかり心は落ち着きを取り戻していた。言うまでもなく罪悪感は後になって湧き上がってきたけど、それほどでもなかった。
 昔なら、絶望してたろうな。
 数年前の自分を思い返して今の自分と照らし合わせてみる。一体いつの間にこんなに心が動かない人間になったんだろう?そう思うとどきりとした。
 それが、大人になるって事なのか?もしそうなら、神様はひどい事をする。
 でも、感受性の強い自分の心を封じこめたのは、自分だったような気もした。
 いつの日か、昔みたいに絶望と希望をたくさん味わえる時が戻ってくるんだろうか?そう考えると、バンドに関わってきた連中の顔が瞼の裏に浮かんでは消えた。
 あいつら、元気にしてるかな。この生活を始めてから、全然連絡も取ってない。久し振りに会いにいくのもいい気がした。その前に今ここで刺されてもおかしくないけど。
 あれだけ好き勝手に弄んだんだ、愁がこのまま黙ってじっとしてるはずがないだろう。心の中でそう思いつつも、自分が刺される光景はちっとも頭に浮かばなかった。
 蛇口をひねってシャワーを止め、風呂場を出る。
 水色のタオルで頭を拭きながら部屋の前まで戻って来ると、愁はさっきの体勢のままぴくりとも動いてなかった。
 今さら慰めようとか謝ろうとかそんな言葉は出てこない。自分のした事がどれほど悪い事かはちゃんとわかってるし、愁がどんな気持ちで横たわってるのかもわかってるつもりだ。とは言え、このまま朝まで横にいてやろうなんて傲慢な考えは微塵もなかった。
 何も言わずに愁の横を通り過ぎて、出かける支度をする。部屋の明かりをつけたら絶対に愁の顔を見てしまうから、暗い中を手探りでタンスから着替えを取り出す。
 お気に入りの赤い無地のシャツと革パンを履いて、ライダージャケットを羽織う。支度を済ませてから、部屋を出る前に動かない愁に一声かけた。
「……鍵、置いてけな」
 慰めの言葉は俺の口から出てこなかった。
 これ以上愁に迷惑はかけられない。愁だって、俺の顔なんて二度と見たくないに決まってる。あれだけ酷い事をしたんだから。
 そもそも、愁と一緒にいるのもいつも勝手に向こうが押しかけてくるからだ。厄介払いじゃないけど、これでゆったりできるのは確かだった。もしかしたら俺はそれ以上に、大切な何かを失ってしまうのかもしれないけど、それが何なのか今は気付いてないから別に構わなかった。
 とりあえず、言う事は言った。これからどうするのか、それは愁の自由なんだから。
 普通なら、すんなり鍵を置いて帰っていくんだろう。でも、愁は絶対また来る。そんなビジョンが何となく頭に浮かんだ。
 銀のヘルメットを持って、家を出る。
 最後まで、愁と顔を合わす事はなかった。


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