interlude009
悲しみを力に変えるのは大変だけど、怒りを力に変えるのは容易い。
悲しみ、淋しさ、切なさ……負の感情はごまんとあって、怒りはマイナスをプラスに転化できる力を持っている。
けれど、大きな力があるが故に扱うのは難しい。人間関係を壊したり、誰かを傷つけたり。正の方向に向ける為には、その人自身の意志が必要。
我慢し過ぎてもストレスが溜まって変調をきたすし、爆発させても周りに迷惑がかかる。
だから僕はこの感情が嫌い。
自分自身が感情に流されている瞬間。例えば喜びを爆発させて全身が動く時はそこに自分の意志がついていっている。
でも怒りの場合は自分じゃない何かに引っ張られているような、糸で操られたマリオネットな気持ちになる。
流されていたくない。自分で自分をコントロールできない瞬間が耐えられない。
そう思うのは自分が自分である、生きている実感を常に得ていたいからだろう。
しかし自分で無くなる瞬間に、枠をはみ出して新しいものが見える時がある。
そしてその瞬間に触れた時も、『生きているんだ』と強く思う。