→Rock'n Roll→  Aozora Tokunaga  top      第3巻

   interlude018

 昨日までをリセットして新しい未来に向かって踏み出すなんて、言葉にするには簡単でも区切りのできない自分がいる。
 暦が変わってもどこまでも僕は僕のままで、見える風景の色も変わらない。人生を変えるほどの大きな転機が起こらない限り、日常はそんな風にして過ぎて行くんだろう。
 春が来れば動き出し、寒くなれば冬眠する。なんて感じに今日の天気にさえ気持ちの左右される僕等は、恐らく自分が思っている以上に脳天気。
 どんなに心痛めていても、3大欲さえ満たしていればそれだけである程度満足してしまいそうに思える。勿論人間は動物じゃないので、そう簡単には行かないけれど。
 あまり闇を見つめないで行こう。いざと言うとき身動きが取れなくなるから。
 あまり光にさらされないで行こう。足下が見えなくなるから。
 見えない恐怖に脅え目を瞑っていても、横に手を伸ばせばほらそこに、親しい人の手が。
 慣れ親しんだ温もりを感じられる相手がそばにいるはず。
 ただ、相手がいついかなる時もそばにいてくれるのか。手を伸ばしてくれるのか。
 そして、もっと自分の感覚にフィットした新しい手が現れた場合は?
 これまでの日々を壊してしまうほどの。 


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