interlude019
心の中に持っている、異性に対する憧れ。
子供の頃に胸の中で生まれ、抱えていたその想いは現実の相手を知るにつれ、喪われてゆくもの。それでも諦め切れず胸の内で密かに育ててしまうのが、男の性(さが)。
追い求めるものが相手になければ、その想いに蓋をしたり、堪え切れず違う相手を探したり、手の届かないブラウン管の向こうの存在に自分の想いを投影したりする。
自分の欲しいモノを全て満たしてくれる身近な存在なんているはずもない。それは恋愛だけじゃなくて、この世の全てに対し言える事だろう。
産まれた時から手の届かないものが必ずある。現実の世界を生きる為に必ず付き纏う、諦めと言う感情。叶わない願いがたくさんある世界は、理想郷ではないのか。
簡単に何もかもを手に入れられる事が夢や理想の意味を薄めてしまうと解っていても、それを願い、追い求め、せめて自分の中だけではと遙かに夢想を膨らませる。
むしろ、現実を知り幻滅するよりは、墓の中まで知らない世界を残しておきたい。その方が、自分の周りに広がる世界に絶望する事も無いだろうから。
意識して、距離を置く。ただ時として不意に、神様はプレゼントを落としてくれる。
そんな時僕はどうするだろう?この手を伸ばすのか、引っ込めるのか。