interlude020
自分の世界に、他人が入り込んでくる。
この現実に生きている以上、他人との接触は絶対に避けられない。
様々な他人の思考や行動が僕をがんじがらめにしている。でもそれを自ら放棄しようと言うつもりも無い。他人がいる事でしか手に入れられない感情があるから。
深く、深く。心の奥に根付いてしまったいくつもの大切な人の姿。
しかしそれは、時と共に移り変わって行く。
そばから離れて、より強く残る者もいれば、自らの諦めや相手がそっぽを向いた事により、興味が薄れてしまう者もいる。
そして、新しい大切な者と出会い、視野が狭くなってしまう事も。
徐々に積み重なるようにしか変化しない緩やかな日常より、真新しい経験した事の無い世界を目の前に示してくれる存在が現れた時、これまで築いてきたものを振り払ってそれを受け入れてしまうのか、それとも見ないふりをして誘惑を払いのけるのか。
どちらか一つを選んだ所で、いつまでも名残惜しそうにもう片方に手を伸ばす自分の姿が容易に想像できて、苦笑する。