→Rock'n Roll→  Aozora Tokunaga  top      第4巻

   interlude029

 世の中には破壊と創造の二つがあり、この二つは相反するものでありながら、それを行う時間にはとても大きな隔たりがある。
 どれだけ年月をかけ精密に組み立てた芸術品も、かなりの高さから地面に叩き落とすだけで、それが生まれるまでに要した年月や永らく存在していた時間も、一瞬にして水の泡と化してしまう。
 それなのにこの星のものの全てが滅びへと向かわずに適度なバランスが取れているのは、先へ繋げようとする想いや意志が働いているからとしか思えない。
 しかし創造には必要なものが、破壊には必要が無い。不意の事故はいつにだって突然訪れる。そして深い悲しみと負の感情が襲いかかる。
 幸福と不幸も似たようなものと思う。ただ前述と違うのは、どちらも不意に訪れる可能性があると言う事と、人の作為でどうとでもなると言う事。
 他人を傷付け不幸に陥れようとする輩がいる。何故ならそれは自分の利益に繋がるから。自分達の事だけ考えていれば、見知らぬ他人を傷付けようと心がそれほど痛まない。争いだって、だからこそ永久になくならないのかも知れない。
 所詮この世は弱肉強食。それでも納得できない自分がいるのは、おそらく自分自身が弱い人間だからなんだろう。
 特に、自分や身の回りの人間が傷ついてしまった場合、僕は相手を呪うだろう。
 それが、生きると言う事。


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