041.ライヴ前の楽屋の気分はこんな感じ
今日はひときわ楽屋が騒がしい。
というか、ラバーズのでかい楽屋に慣れすぎてるせいか、学園祭運営委員会側が用意したこの即席楽屋は鬼のように狭く感じる。おまけに寒い。普段は用具置場として使われてる場所みたいだからしょうがないんだろう。
耳を傾けるだけで、他の出演バンドの愚痴が聞こえる。いくら場所がないにしても、この扱いはひどい。
こういう大学に限って、プロの奴らを呼んだ場合はステージから少し離れててもゆったりした部屋を確保したりするんだろうな。
呼ばれたのは俺達を含めて全部インディーズのバンド。どれもそれなりに人気のあるバンドばかりで、何度か対バンして顔見知りになった奴らもちらほら見かける。
ただ「インディーズ」という括りだけでこんなクソ狭いハコに閉じこめられるのはさすがに腹が立つ。長年バンドをやってれば、これぐらいの扱いをされる時はそれこそ日常茶飯事に起こるだろう。とはいえ、それを素直に受け入れられるほど俺達は人間ができちゃいない。
「もっといい部屋用意しろよな、ったくよー」
体育用具の棚にもたれかかってるイッコーが、突っ立てたオレンジの頭をがりがり掻きむしりながらぶつくさ不満を口に出してる。俺も苦笑いを浮かべてみせた。
まあ、こんな扱いを受けていつか見返してやろうって思う気持ちが、より音楽活動に力を入れる要因の一つになるのは確かだから、今日のところは我慢しておいてやろう。
もちろん出演する6バンドの全員がこの楽屋にすし詰めになってるわけじゃない。実のところとっくにイベントは始まっていて、今頃2バンド目が体育館の即席ステージの上で客達を踊らせてる頃だろう。上の階が体育館だから、その賑わいようは天井を通してここにも伝わってくる。
歓声、楽器の音、地鳴り。
サッカーの試合中のスタジアム近くを通り過ぎる時のような、今あそこで面白い事が行われてるんだってわくわくする気持ち。そして俺達は観客じゃなくてそこの主役なんだから、胸が自然に高鳴ってくる。この昂ぶる気持ちは嫌いじゃない。
他のバンドの奴らはステージを観に行ったり、仲間や友人達と外の通路で話し合っていたりする。だから今は楽屋にいる人数は少ないけど、それでも狭い。
青空は委員会側との打ち合わせに出てるから今はいない。最近の練習と同じようにてっきり一番最後にやってくるもんだと思ってたら、今日は一番乗りだった。バンドのリーダーだから今日ばかりはその責務を果たさないとダメなんだろう。
結局、溢歌は昨日も愁の家に帰ってこなかったらしい。さすがにライヴ前日に腰が砕けるほどSEXするわけにもいかないから、昨日の練習で普段より短めの音合わせが終わった後、俺は愁と別れて一人で家に帰った。数日の疲れが溜まってたせいか、風呂場で寝てしまい溺れそうになって、死ぬかと思った。
青空と顔を合わせた瞬間、思わず溢歌の事を訊きそうになるのを懸命に飲みこんだ。もちろん訊きたい事は山のようにある。でも、今ここで傷口を広げるのは賢明じゃない事ぐらい俺だってわかってた。
俺達の間はまだまだギクシャクしてたけど、向こうから溢歌の話題を口にしないのが幸いだった。もし出してたら、俺はまたあいつをぶん殴っただろう。
こんなふうにぐるぐる考えが頭の中で回ってる時には、酒でも飲みたくなる。普通の人ならここで煙草でも欲しがるんだろうけど、俺にとっていい按配になれるのは酒だった。
とはいえさすがにライヴ前に飲む真似はしない。酒を飲むと物事を忘れがちになるから、歌詞を間違えてしまう可能性がある。ヴォーカリストとして、それは最低の行為だろう。
早めに楽屋に入ってしまうと余計な事ばかり考えてしまうし酒も飲めないから、俺はライヴの時になるべく一番最後に来る事にしていた。イッコーは楽器をいじくってれば満足なのか、鼻歌を唄いながら小さなアンプにベースを繋いで即興で鳴らしてる。
先にみょーの絵を観に行った方がよかったかもしれない。でも、今からじゃ時間がなさ過ぎる。昨日、何時間なのかわからないほど寝て、大学に着いたのがついさっきだったからしょうがない。
そんなこんなで時間潰しをしてると、開けっ放しの楽屋の扉からキュウが姿を現した。
「うーっ」
「どーしたん、キュウ?そんなに怖い顔しちゃって」
眉間に皺を寄せて唸っているキュウに、イッコーがいつもの笑顔で声をかける。
「二度とここの学園祭に出てやるもんか〜っ」
両指をわなわな動かしながら、キュウは喉から絞った声を上げた。
「そーとーぐちぐち言われたみたいな」
歯を立てて笑うイッコー。相手の不幸を笑おうと思って口元を緩ませてるわけじゃないから、見てるこっちはちっとも腹が立たない。
それでもキュウの奴は相当ご立腹の様子だった。
「ほらまだおねーさま来てないじゃない?そこをぐちぐち突っこまれてさー。せーちゃんが横にいたからよかったけど、アタシ一人じゃ絶対キレてたわね」
「ごくろーさん」
腕を組んで腹を立ててるキュウの頭をイッコーがぽんぽん叩く。するとキュウはすぐに機嫌を直して、イッコーにじゃれつき始めた。
キュウは優しくされると途端に今までの嫌な事を全部忘れて、その相手にじゃれつく性癖がある。これが子供だったらいざ知らず、それこそ華の女子高生が男女構わず誰にでもそんな態度を見せてくるんだから、見てるほうも照れる。
それでもイッコーは千夜みたいに邪険に払いのけるどころか、キュウの頭を掴んで思いっきり撫でてやるんだから笑える。それを嫌がりもしないではしゃぎながら喜ぶキュウもキュウだけど。
「よう、おひさしぶりー」
二人のじゃれ合う姿を楽しく眺めてると、懐かしい声が入口から聞こえた。
「みょー!」
俺は何故だか嬉しくなって、あいつのそばへ駆け寄った。
「何年振りだろうな、会うの」
「確か俺が宇宙旅行に行く前に会ったのが最後だから216年ぶり」
「なにわけのわからない受け答えしてるのさ」
みょーの後から、ひょこっと愁が顔を出した。今日はウサギの帽子を被ってて、ニットのセーターによく似合う。後で聞いたけど、一人で構内を歩いてるとナンパが多くて多くてたまらなかったらしい。かと言って和美さんと歩いてたら、その数が倍になったとか。
「でも、老けたよなあ」
俺はまじまじとみょーの顔を覗きこむ。髪の毛がちょっと長くなったくらいで、顔の掘りが別段変わってるわけでもない。それなのに、最初に言ったように数年振りに会ったような感じがするほど、みょーの身体からはそんなオーラが漂ってた。そう、まるで永い永い戦場を乗り切った時の戦い疲れた顔のように。
「ずーっと部室に篭って絵描いてたからじゃねーかなあ」
みょーは自分の顔をさすりながら愁にも訊いてみる。俺と同じ答えを返されて、みょーは何だか納得行かない顔を浮かべた。
「こっちは凄いもん用意したからな、そっちも前以上に凄いモン見せてくれよ」
「あいにく保証はできないけど」
俺は肩をすくめてばつの悪い顔を見せる。こっちのリアクションに面食らったのか、みょーはきょとんとしていた。
「なんだ、てっきりもっと強気のコメントが飛んでくると思ってたんだけどなー」
「ちょっとワケありなんだよ、な、イッコー」
俺はイッコーと顔を見合わせて、歯を見せて笑った。何のことかわからないみょーは首を傾げてるばかりだ。俺達が今日のステージでどんな事をやらかそうとしてるのか知ってる愁は、みょーの後ろでこみ上げる笑いを必死に堪えている。
「あれ、せーちゃんは?」
みょーが楽屋を見回す。そういえばキュウと一緒に出たはずなのに、まだ戻ってない。
「ちょっと用事があるから先に戻ってくれだって。兄者、お久しぶりでござんす」
キュウが俺の横に並んで、変な敬礼をする。みょーも同じポーズを取って、敬礼を返す。どうやら俺達と同じくらいキュウの扱いを知ってるらしい。
「それを言うなら和美さんは?」
俺がみょーに訊くと、後で鳴ってたイッコーのベースがぴたりと止まった。
「ん、オマエらに差し入れ持って来るって行って、ちょいと寄り道してる。もうそろそろ来るはずなんだけど……あ、来た」
ちょうどみょーが扉のほうを振り返った時に、和美さんが買い物袋を手に提げて現れた。ちらっとイッコーを横目で見てみると、和美さんを見ながら口をあんぐりと開けて固まってる。今までに見たイッコーの顔の中で一番面白い。
「こんにちは、たそさん」
今日はいつもと色違いのカチューシャをつけてる和美さん。学園祭だって事もあるのか、いつもよりカジュアルな服装で思わず見とれてしまいそうになる。それこそファッション雑誌の表紙を飾ってもいいくらいだ。周りにいる他のバンドの視線も、楽屋に入ってきたばかりの彼女に集中してる。藍染兄妹が揃ってむっとしてるのが笑えた。
「こんにちは。凄いいいですね、その服」
「ふふ、ありがとうございます。学校に来てる時はどうしても動きやすい服装とかばかりであんまり外向けの格好してないんですけど、今日ばかりはおしゃれに気を遣ってみようかなって思って」
和美さんは顔にかかる前髪を手櫛で梳きながら微笑んで見せる。その何気ない仕草が見てるだけでとても胸を打つ。普段の服装でも十分人を惹きつけるほど綺麗なのに、正装した日にはもう何て言ったらいいのかわからなくなる。
「だから人の彼女に色目使ってるんじゃねえぇ〜」
みょーが唸りながら俺の胸倉を掴んできた。こみ上げてくる笑いをそのままに揺さぶられる。周囲の視線が「嘘だ嘘だ」ってみょーに投げかけられてて、余計おかしい。俺も最初はそう思ってたんだって。
「彼氏……かれし……」
後で、イッコーの呟きが聞こえた。
「彼氏いたんか、和姉!?」
素っ頓狂なイッコーの裏声が楽屋に響き渡った。一斉に視線がイッコーに向けられるけど、本人はそれすら気付かないほど驚いた表情を見せている。
「あ、カズくん」
そこでようやく、和美さんはイッコーの存在に気付いた。
「お久しぶり、背伸びてたから気付かなかった。10cmぐらい伸びたんじゃない?」
和美さんは買い物袋を置いてイッコーのそばまで寄って行って、つま先立ちで頭の上に手を伸ばす。
「お、おう」
イッコーは顔を真っ赤にしながら、横目で和美さんを見てる。今にも大爆発するんじゃないかって思うくらい頭から湯気を吹いてる。
「そういう和姉だって……き、き、キレーになってんじゃんか……」
いつもみたいに歯を見せて笑えないほど緊張してるのか、後の言葉はほとんど聞こえないくらい小声だった。
「だってあれから二年経ってるんだもの、私だって大人になってるわ」
そう言って和美さんはイッコーの額を指で小突く。普段のイッコーならそこで馬鹿笑いで返してるんだろうけど、和美さんの前じゃすっかりカチコチになってる。
「ははーん、そーゆー関係なのね、あの二人」
いつの間にか隣に来てたキュウが俺の耳元で囁いた。ニンマリといやらしい笑みを浮かべてる。
「おまえ勘違いしてるぞ」
俺はキュウを置いて、今にも張り叫びそうになってるみょーを咄嗟に取り押さえた。
「わ、ちょっ……なにすんだいきなりっ!」
「ストップストップ」
「ストップどころじゃねーだろっ……ふぐむぐぐ」
いいムードで話してる二人の間をぶち壊さないように、みょーの口を押さえて言い聞かせる。
「大丈夫、ただの従姉弟なんだから少し水入らずで話させてやろう」
「従姉弟でも結婚はできるわよ」
「そこで水を挿して来るんじゃない、キュウ」
俺はみょーの口を塞ぎながら、余計な言葉を口走るキュウを手で払う。
「あ、紹介するわ」
じたばたしてる俺達のほうを和美さんが振り向いた。
「私の彼で、藍染 明星君。同じここの大学に通ってて、愁ちゃんのお兄さんなの」
「うそっ!?」
イッコーは奇声を上げて変なポーズで固まってる。つくづく面白い奴。
「あー、兄貴のことはイッコーにはほとんど話してなかったんだっけ」
愁が自分でも意外そうに口にする。
「全然きいてねー……」
両手を頬に当てて重苦しい空気の中で沈むイッコー。和美さんがしゃがみこんだイッコーを立ち上がらせてから、今度はみょーにイッコーを紹介する。
「この子は私の従姉弟で日野 一光君、私より2歳下。まさかたそさんと一緒にバンドやってるなんて思ってもみなかったけれど」
「こっちだってまさか愁の兄貴が彼氏なんて夢にも思ってねーよー」
頭を抱えて波打ち際に打ち上げられたエビのように悶えるイッコー。どうやらよほどショックだったらしい。俺は愁と顔を見合わせて、お互いに親指を突き出した。
仕込み成功。
「あ、そうそう。ねえ、カズくんと少し外で話してきていいかしら?時間がないなら後でも構わないんですけど」
和美さんは掌を打ち合わせて、俺に訊いてくる。2バンド目が始まってからちょうど持ち時間の半分ほど経ってたから、今からなら1時間弱程度時間がとれるだろう。
「遅刻しなかったらいいわよ。もううだうだ言われるのはこりごりなんだから」
キュウは肩をすくめて了承したけど、口元が少しにやけてるのを俺は見逃さなかった。
「お、おいオレは……」
「はいはい、じゃあ早く行って、早く戻って来てね」
俺とキュウと愁の3人で反対しようとするみょーを取り押さえて、ひらひらと手を振る。和美さんはイッコーと顔を見合わせてたけど、微笑んでからイッコーの手を取って連れて行く。イッコーは思いっきり戸惑いながらもされるがままに楽屋を出て行った。
「悪い、今度メシおごるから!」
イッコーのその言葉が終わらないうちに、二人の姿が扉の影に消えた。戻ってこない事を確認してから、俺達はみょーから手を離す。
「こんのヤロウっ!」
ぽかすかぽか。
「いたい〜っ、みょーちんひどい〜」
「本気で殴ることないじゃないのさ、兄貴〜っ」
「どうして俺まで殴られるんだよ」
「オマエが一番止める気マンマンだったじゃねーか」
「よく見破ったな」
「わからないとでもお思いか」
「息の根を止めなかっただけ感謝してくれ」
それ以上ツッコむ気になれなかったのか、みょーは大きくため息をついて肩を落とした。
「でも、あのイッコーの態度見てると相当惚れてるわね」
びしっと人差し指を突き出して、キュウは断言した。俺は和美さんが持ってきてくれた差し入れの袋を覗きこんで、適当なおにぎりとペットボトルの烏龍茶を取り出す。
「ああ、やっぱりイッコーのよく言ってる想い人って和美さんだったんだろうな」
何気なく呟きながらおにぎりを頬張ろうとした瞬間、みょーのフライングクロスチョップが背中に飛んできた。
「っ痛ぁ!どうしてキュウじゃなくて俺なんだよ!」
「今まで一言もオレに言わなかったオマエが悪い」
「俺とおまえが顔を合わせてるのはまだ数回だろ。それにラブラブなんじゃないのか、おまえと和美さん」
「それとこれとは話が別だあ!」
確かにみょーの言う通り。俺だってどれだけ愁に惚れてる男がいたとして、そいつと愁が二人で話してるところを黙って見過ごせるわけがない。ただ、それを溢歌に置き変えて考えると例え話じゃなくなってしまうから、この話題を頭の中から消した。
「まあ、今回ばかりは黙って見ていてやれば?和美さんだって二年ぶりだって言ってたし、積もる話はあると思うしさ。自分の事ばっかり考えてると、和美さんに嫌われるかもよ」
「ぐぬ……」
苦虫を噛み潰した顔でみょーは押し黙った。どうやら、痛いところを突かれたらしい。そこでふと思い当たったところがあって、少しみょーに訊いてみる。
「もしかして、和美さんにわがままばかり言ってないか、おまえ?」
するとみょーの横で愁が何度も頷いた。その頭の上に拳骨を落としてから、頭を押さえて悶える愁を無視してみょーが答える。
「オレのわがままをアイツは笑顔で受け入れてくれるし」
その答えに俺は頭を押さえてしまった。こいつ、やっぱり昔の俺と一緒だ。愁が身をもって他人への思いやりを教えてくれたから、俺は以前よりマシになったけど、こいつは違うらしい。俺はため息をついてから、みょーの頭に手を当てて乱暴に掻きむしってやった。
「なにすんだあっ、いきなりっ!」
「顔に出る表情だけが全てじゃないって事を覚えておきな」
そのまま席を立って、声をかけてきた愁に軽く手を振りながら俺は楽屋の外へ出て行く。
「どこ行くの?」
「飯食う前にトイレ」
楽屋外の廊下には他のバンドのメンバーがたむろしていた。狭苦しい楽屋にいるよりもずっと伸び伸びとした気分になれるんだろう。楽屋の中よりも、ステージの歓声が大きく聞こえる。
俺はトイレで用を済ませて戻ってくる間、和美さんの事を考えていた。
どれだけみょーがわがままを言ったところで、献身的な性格の和美さんなら絶対にみょーの元を離れはしないだろう。それこそ神経が磨り減るくらいになったとしても、あの聖母のような笑顔で微笑みかけ続けるはずだ。
本当に他人の全てを好意的に受け入れられる事なんてできないのかもしれない。
相手を想う感情ってのはよくわからない部分が多い。それこそ相手にダメな部分が山のようにあったとしても、気持ち一つで全てを覆して幸せになれる事だってある。その辺は、どれだけ絶望的な気分に陥っててもたった1%のプラスで全てを肯定できる瞬間がある事と似てると思う。
誰しも自分にも嫌な部分があるだろう。それこそ100%自分の事が好きだって言える人間のほうが俺には嘘臭く思えてならない。
だからこそ自分の嫌な部分を許してくれる人間を望んでるんだろうし、強い人間に憧れ続ける。そして自分の醜い部分を持ってる人間を嫌う。
まるで鏡を見てるような気分になって。
そう考えれば、他人の事を100%好きになれなくても、一緒にいられる。というか、それが人のつき合いとして当然だ。
かと言って、そこをいつまでも放って置いていいんだろうか?本当に相手を好きになって、相手もこっちを一部の隙もなく愛してくれる事ってあるんだろうか?
だんだん考えが支離滅裂になってきた。ただ一つだけわかる事は、相手を想う気持ちは全てを超える場合があるって事だけだ。それこそ和美さんがみょーを想う気持ちのように。
そしてその気持ちを、俺は本当に愁や溢歌に対して持ってるのか?
そんな事を考えながら楽屋に戻った。