interlude014
誰かに尽くしてあげるのが幸せだと感じ始めたのはいつからでしょう?
慈悲深い母さんの横顔を見て育ったから、だと思います。
他人の笑顔は、私の心を溶かしてくれる。人一倍他人の感情に敏感だった私は、物心ついた時からできるだけ笑顔を振り撒いて、周りの人間を楽しませようとしてきました。
泣いている時は、慰めて。怒っている時は、なだめて。
私の身体が欲しい時は、裸になって身も心も預けて。
本当は、助けて欲しいのは私の方なのに。そんな自分の心に目を背けて、大好きな母さんの真似をし続けた。
言葉にできないで、今までずっと胸の奥に閉じ込めてきた想い。
でも、それに惑わされないで他人の存在で、笑顔で自分の心を埋めていく。決して満たされない想いの代わりに。
そうして悲しみを他人に掬ってもらう。それが私にとっての幸せの定義。
――なのにどうして、こんなに淋しいの?