→Rock'n Roll→  Tasogare Akane  top      第3巻

   interlude025

 人はこの世に生を受けると同時に、いつか訪れる死のチケットを手渡される。
 人間にとって人生のゴールは、暗闇が訪れることなのか?
 夜空に瞬く星の数ほど散らばってる物語は、時間のどこかで終わりを迎える。事件が解決したり、何かを成し遂げたり、描かれてるのは大半が人生の一部の途中だ。
 だけど物語が終わった後でも、中の彼らは彼らの時を生きる。物語の終わりと命の終わりは違う。何かが終わっても、また新しい何かが始まる。その繰り返しが命の終わりまで続いて行く、それが生きると言うこと。
 物語のハッピーエンドもバッドエンドも、人生における数多の体験の一つの結果でしかないのかもしれない。求めてきた物事を手に入れられずに終わるだなんて腐るほど手にしてきた。だけどまだ何も終わっちゃいない。
 誰かが勝手に決めた結論に体ごと流されるつもりはない。俺達の生きてきた証はこれまで辿ってきた道筋に色あせることなく刻まれてて、魂を証明してくれてる。
 現実にエンドロールは流れない。だけど俺の中でずっと続いて行く物語にはそれこそたくさんのキャストが登場してる。そこに記された名前におまえがいる、お前の物語にも俺の名前があるってことを、忘れずにいてほしいんだ。


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